はじめに
医療機器業界において、テルモは日本を代表するグローバル企業として確固たる地位を築いています。「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、100年以上にわたり革新的な医療機器を開発し続けてきました。北里柴三郎が発起人となり1921年に設立されたテルモは、体温計の国産化から始まり、今や世界160カ国以上で事業を展開するまでに成長しました。
2025年3月期には売上高が初めて1兆円を超える見通しであり、同社の躍進は留まることを知りません。その一方で、デジタル技術の急速な進化やヘルスケア業界の構造変化など、テルモを取り巻く環境も大きく変化しています。今回は、テルモの事業構造から財務状況、市場環境分析、将来展望に至るまで、多角的な視点から徹底分析します。就職・転職を検討されている方々にも役立つ情報を盛り込み、テルモという企業の真の姿に迫ります。
1. 事業構造と最新業績
1-1. テルモの事業構造
テルモは主に3つのカンパニーと7つの事業領域から構成されています。世界各国で高いシェアを持つ製品を多数擁し、特にカテーテルなどのディスポーザブル(使い捨て)医療機器では国内首位の地位を確立しています。
心臓血管カンパニー(C&V)
- TIS(血管内治療事業):冠動脈や末梢血管治療用カテーテル
- ニューロバスキュラー(脳血管治療事業):脳動脈瘤治療用コイルなど
- バスキュラーグラフト(血管事業):人工血管
- CV(心臓外科事業):人工心肺装置、人工肺
ホスピタルカンパニー(TMCS)
- ホスピタルシステム:輸液ポンプ、シリンジポンプなど
- アライアンス:医薬品・栄養食品
- DM&C(糖尿病管理・消費者向け製品):血糖測定システム、体温計
血液・細胞テクノロジーカンパニー(TBCT)
- 血液センター向け製品:血液自動採取装置、血液処理システム
- 治療的アフェレーシス製品:細胞治療、再生医療向け装置
1-2. 直近の業績動向
テルモは2025年3月期に売上高1兆円を達成する見通しで、北米・欧州を中心とした心臓血管事業の好調と円安が寄与しています。2025年3月期第2四半期時点で上方修正を発表し、営業利益1720億円(前期比22.8%増)、純利益1245億円(同17%増)と力強い成長を見せています。
- 地域別売上高
- 日本:2394億円(前期比5.4%増)
- 欧州:1752億円(同12.9%増)
- 米州:3490億円(同11.5%増)
- アジア他:1464億円(同7.3%増)
特に海外売上比率が77%に達し、グローバル企業としての強みを活かした成長を実現しています。カンパニー別では心臓血管カンパニーが全体を牽引し、血液・細胞テクノロジーカンパニーも血液センター向けビジネスが好調に推移しています。
2. PEST分析とファイブフォース分析、SWOT分析
2-1. PEST分析(マクロ環境分析)
政治的要因(Political)
- 医療費抑制政策:世界的な医療財政逼迫により、各国政府は医療費抑制策を強化。日本では薬価改定や診療報酬改定が定期的に実施され、医療機器の価格にも下押し圧力。
- 規制環境の変化:医療機器の安全性基準強化や承認プロセスの厳格化。各国間の規制調和の動きも進展。
- 医療制度改革:各国で医療システムの効率化を図る改革が進行中。日本では医師の働き方改革(2024年施行)により医薬品・医療機器メーカーの営業活動にも影響。
経済的要因(Economic)
- 世界経済の動向:インフレ圧力や金利上昇が企業の資金調達コストに影響。一方で医療機器は景気変動の影響を受けにくい。
- 為替変動:円安基調はテルモの海外売上比率77%の利益をプラスに作用している。
- 医療費支出の増加:世界的な高齢化により医療費支出は増加傾向。2030年の世界の医療機器市場は2020年比1.6倍の約8,000億ドルに達すると予想されている。
社会的要因(Social)
- 高齢化社会の進展:先進国を中心に急速な高齢化が進行。慢性疾患や生活習慣病の増加により医療ニーズが拡大。
- 予防医療への関心高まり:健康意識の向上により、予防医療や健康管理に対する需要が増大。
- 医療格差:国や地域による医療アクセスの格差が存在。新興国では医療インフラの整備が課題。
技術的要因(Technological)
- デジタル化の加速:AI、IoT、ビッグデータの活用による医療機器のスマート化が進展。
- 低侵襲治療への移行:手術の負担を軽減する低侵襲治療へのシフトが加速。テルモの強みであるカテーテル治療などの需要拡大。
- 再生医療の進展:細胞治療や遺伝子治療など先端医療技術の実用化が進む。テルモの血液・細胞テクノロジーカンパニーと親和性が高い。
2-2. ファイブフォース分析(業界環境分析)
新規参入の脅威:中
- 医療機器業界は規制障壁が高く、認証取得や品質管理体制の構築に多額の投資が必要。
- 一方で、デジタルヘルスケアなど一部分野では技術革新によりスタートアップの参入が活発化。
- 既存の大手テクノロジー企業がヘルスケア領域に参入する動きも。
代替品の脅威:低~中
- 専門的な医療機器は代替が難しく、一度採用されると長期間使用される傾向。
- デジタル治療や遠隔医療など新たな治療法が従来型医療機器の一部を代替する可能性。
- 医療機器の高度化により交換サイクルが短縮化する傾向も。
買い手の交渉力:中~高
- 医療機関の統合や購買の集約化により交渉力が強まる傾向。
- 特に公的医療制度下では価格決定に政府の影響力が大きい。
- 一方で、高付加価値・革新的な医療機器に対しては価格低減圧力が比較的小さい。
供給業者の交渉力:低~中
- 医療機器の原材料や部品のサプライチェーンは多様化。
- 半導体など一部の重要部品については供給業者の交渉力が強まる場合も。
- 調達の分散化によりリスク低減が図られている。
競争環境:高
- グローバル市場では米国医療機器大手(メドトロニック、アボット等)との競争が激化。
- 製品の高度化・ソリューション化の流れの中で差別化競争が進行。
- 技術革新のスピードが速く、継続的な研究開発投資が必要。
2-3. SWOT分析
強み(Strengths)
- 高いグローバルシェア製品:脳血管治療デバイスなど多数の高シェア製品を保有
- 幅広い製品ポートフォリオ:診断から治療まで幅広い製品ラインナップを持ち、包括的なソリューション提供が可能
- 強固な財務基盤:高い収益性と健全なバランスシートにより、積極的な投資や買収が可能
- グローバルな販売網:世界160カ国以上での事業展開と地域に最適化された販売戦略
- 研究開発力:医療現場のニーズを捉えた革新的製品開発の実績
弱み(Weaknesses)
- デジタル技術の取り込み:AIやデジタルヘルスケア分野での出遅れ
- 地域による事業基盤の差:日本・欧米と比較し、新興国での事業基盤がまだ発展途上
- 高まる価格競争圧力:一部製品では後発メーカーとの価格競争に直面
- 人材確保の課題:グローバル展開に必要な多様な人材の確保・育成
- 規制対応コスト:各国の規制対応に伴う開発・販売コストの増加
機会(Opportunities)
- 医療ニーズの拡大:世界的な高齢化に伴う慢性疾患治療ニーズの増加
- 新興国市場の成長:アジアを中心とした新興国での医療インフラ整備と需要拡大
- 低侵襲治療の普及:カテーテル治療など低侵襲治療の適応拡大
- デジタルヘルスケアの進展:医療機器とデジタル技術の融合による新たな事業機会
- 再生医療・細胞治療の発展:血液・細胞テクノロジーを活かした再生医療領域での成長
脅威(Threats)
- 競争激化:グローバル医療機器メーカーとの競争激化
- 医療費抑制圧力:各国の医療費抑制策による価格下落圧力
- 技術革新の加速:医療技術の急速な進化による既存製品の陳腐化リスク
- 規制環境の変化:医療機器規制の厳格化による開発・承認プロセスの長期化
- 異業種からの参入:テクノロジー企業など異業種からのヘルスケア領域への参入
3. 就職・転職に関する情報
3-1. 福利厚生と労働環境
テルモは従業員の働きやすさを重視した制度を整えています。公開情報によると以下のような福利厚生が充実しています。
- 休日・休暇制度:年間休日124日(2024年度)、完全週休2日制(土・日)、祝日、夏季休暇、年末年始休暇
- 特別休暇制度:結婚休暇、転勤休暇、忌引き休暇、障がい者特別休暇、選挙・裁判員制度参加等の公民権行使休暇、生理日休暇、出産時休暇、産前産後休暇、配偶者出産時休暇、看護介護休暇、不妊治療休暇
- 働き方支援:フレックスタイム制(コアタイム11:00〜14:00)、在宅勤務制度(利用回数の制限なし)、ノー残業デーの設定
- その他福利厚生:財形貯蓄、社員持株会制度、時間単位有給休暇、産前・産後休暇、育児休暇、育児短時間勤務、介護休暇、キャリアリターン制度、がん就労支援、失効有給休暇取得制度
労働環境に関しては、2023年度の平均残業時間は18.5時間と比較的短く、ワークライフバランスを重視した職場環境づくりが進められています。また、自己都合離職率も低水準にあり、従業員の定着率が高いことが特徴です。
3-2. 平均給与・年収
テルモの給与水準は業界内でも比較的高い水準にあります。2024年3月期の平均年収は755万円(平均年齢40.3歳)となっています。年代別の平均年収は以下の通り推定されています。
- 25〜29歳:約525万円
- 30〜34歳:約605万円
- 35〜39歳:約689万円
- 40〜45歳:約736万円
- 45〜49歳:約787万円
- 50〜54歳:約850万円
- 55〜59歳:約850万円
初任給(2025年実績) - 博士:304,500円 - 修士:272,500円 - 大卒・高専(専攻科):256,500円 - 高専(本科):224,500円 - 専門:201,500円
2024年4月からは給与制度が改定され、従来の基本給に住宅手当などの各種手当を組み込む形に変更されています。
3-3. 社風と求める人物像
テルモの社風は、「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念に基づく真摯な姿勢が特徴です。社員の口コミからは以下のような特徴が見られます。
- 真面目で一生懸命、会社の方針を支える社員の存在
- グローバルな視点を持ちながらも日本的な調和を重視する文化
- 製品の品質と安全性を最優先する姿勢
- チームワークを重視する協調性の高い環境
テルモが求める人物像については、画一的に定めた「求める人物像」はないとされており、それぞれの個性や能力を尊重する姿勢を示しています。特に以下のような人材を歓迎しています。
- 自らの健康管理に関心の強い方
- 医療への貢献に情熱を持つ方
- グローバルな視点を持ち、多様性を尊重できる方
- 英語その他の言語を習得された方、海外留学経験のある方
3-4. 面接対策と志望理由
テルモの面接では、以下のような質問がよく出されると考えられます。
- テルモの企業理念である「医療を通じて社会に貢献する」についてどう考えるか
- なぜ医療機器業界、特にテルモを志望したのか
- あなたの強みとテルモでどう活かしたいか
- チームワークを発揮した経験について
- 困難な状況を乗り越えた経験について
- グローバルな環境で働くことについてどう考えるか
志望理由の模範例としては、以下のようなポイントが考えられます。
- テルモの企業理念に共感し、医療を通じた社会貢献に携わりたいこと
- テルモの革新的な医療機器開発の実績に魅力を感じていること
- グローバルに展開する日本発の医療機器メーカーで、国際的な視野を持って働きたいこと
- 自身の専門性や経験を活かし、医療の質向上に貢献したいこと
- テルモの幅広い製品ポートフォリオや事業領域の多様性に魅力を感じていること
4. ファンダメンタルズ分析
4-1. 売上高と利益率の推移
テルモの売上高と利益率は着実に成長しています。2025年3月期の売上高は初めて1兆円を超える見通しであり、前期比9.6%増の1兆100億円が予想されています。
売上高推移
- 2022年3月期:7,033億円
- 2023年3月期:8,484億円
- 2024年3月期:9,219億円
- 2025年3月期(予想):1兆100億円
営業利益と営業利益率
- 2022年3月期:1,160億円(16.5%)
- 2023年3月期:1,267億円(14.9%)
- 2024年3月期:1,400億円(15.2%)
- 2025年3月期(予想):1,720億円(17.0%)
当期純利益
- 2022年3月期:888億円
- 2023年3月期:1,000億円
- 2024年3月期:1,064億円
- 2025年3月期(予想):1,245億円
4-2. 財務状況と安全性指標
テルモの財務状況は非常に健全で、高い安全性を維持しています。
- 自己資本比率:約70%と高水準を維持
- D/Eレシオ(負債資本倍率):0.3倍程度と低水準
- フリーキャッシュフロー:2025年3月期第2四半期時点で621億円(前年同期比+446億円)と好調
4-3. 投資指標と株価動向
テルモの主な投資指標は以下の通りです(2024年11月時点)。
- PER(株価収益率):約25倍
- PBR(株価純資産倍率):約3倍
- ROE(自己資本利益率):約10%
- ROA(総資産利益率):約7%
- 配当利回り:約1%
テルモは5カ年の中期経営計画でROIC(投下資本利益率)10%超を新たな財務目標として掲げており、資本効率の向上にも注力しています。
5. 独自の企業分析の結果
5-1. 競合他社との比較
テルモは日本の医療機器メーカーとしてはトップクラスの規模ですが、グローバル市場では米国大手(メドトロニック、アボット、ボストン・サイエンティフィックなど)と競合しています。国内では富士フイルムHD、オリンパス、HOYAなどと競合関係にあります。
- 市場シェア:カテーテルなどディスポーザブル医療機器で国内首位、脳血管治療用デバイスなど一部製品では世界的に高いシェア
- 収益性:営業利益率15%程度は業界平均を上回る水準
- 研究開発投資:売上高の約7〜8%を研究開発に投資、業界標準的な水準
- グローバル展開:海外売上比率77%と高く、北米・欧州・アジアにバランスよく展開
5-2. 成長戦略の評価
テルモの成長戦略は「デバイスからソリューションへ」という中長期ビジョンに基づいており、5カ年成長戦略「GS26」を推進中です。この戦略の主なポイントは以下の通りです。
- 治療ソリューションの強化:低侵襲治療分野を中心とした製品ポートフォリオの拡充
- 地域戦略の最適化:各地域の医療ニーズに合わせた事業展開
- M&Aとアライアンスの活用:外部技術・ノウハウの積極的な取り込み
- CDMO事業の強化:医薬品受託製造の拡大(WuXi Biologics社の薬剤製品工場買収など)
- デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの構築
これらの戦略は、医療機器業界のトレンドと親和性が高く、テルモの強みを活かせるものであり、長期的な成長を支える基盤となると評価できます。
5-3. リスク要因の分析
テルモが直面する主なリスク要因は以下の通りです。
- 医療費抑制圧力:世界的な医療費抑制の流れによる価格下落圧力
- 競争激化:グローバル医療機器メーカーとの競争激化、新興国メーカーの台頭
- 技術革新への対応:デジタルヘルスケアなど新技術への対応の遅れ
- 規制環境の変化:各国の医療機器規制の厳格化による開発・承認プロセスの長期化
- サプライチェーンリスク:原材料調達や生産拠点の集中によるリスク
テルモはこれらのリスクに対し、製品の高付加価値化、研究開発の強化、生産・調達の分散化などの対策を講じていますが、特にデジタル技術の取り込みについては今後の課題となる可能性があります。
6. 企業の将来性と5年後の展望
6-1. 市場環境の予測
医療機器業界は2030年までに世界市場規模が約8,000億ドル(2020年比1.6倍)に達すると予測されており、中長期的に高い成長が見込まれています。特に以下のトレンドが今後5年間の業界を形作ると考えられます。
- 高齢化に伴う医療ニーズの拡大:慢性疾患治療や予防医療の需要増加
- 低侵襲治療のさらなる普及:カテーテル治療など低侵襲アプローチの適応拡大
- デジタルヘルスケアの進展:AI、IoT、ビッグデータ活用による医療のデジタル化
- 医療機器のサービス化:機器販売からソリューション提供型ビジネスへの転換
- 再生医療・遺伝子治療の実用化:細胞治療など先端医療の臨床応用拡大
6-2. テルモの成長機会
テルモにとって特に有望な成長機会は以下の分野にあると考えられます。
- 心血管治療分野:高齢化に伴う心血管疾患の増加とカテーテル治療の拡大
- 脳血管治療分野:脳卒中治療の技術革新とテルモの強みの相乗効果
- 細胞治療・再生医療:血液・細胞テクノロジーを活かした再生医療への展開
- 新興国市場:アジアを中心とした新興国での医療インフラ整備と需要拡大
- CDMO事業:医薬品受託製造の拡大による新たな収益源の確立
6-3. 5年後の展望
現在の成長トレンドとテルモの戦略を踏まえると、5年後のテルモは以下のような姿になると予測されます。
- 売上規模:売上高1.3〜1.5兆円規模へ成長(年平均成長率5〜8%)
- 収益性:営業利益率18〜20%へ向上(高付加価値製品比率の上昇)
- 事業構造:
- 心臓血管カンパニーが引き続き成長を牽引
- 血液・細胞テクノロジーカンパニーが再生医療分野で新たな成長
- CDMO事業が第4の柱として成長
- グローバル展開:海外売上比率85%程度に上昇、特にアジア市場での成長加速
- デジタル化:AI診断支援や遠隔医療サポートなど医療機器とデジタルの融合が加速
- ビジネスモデル:製品販売からソリューション提供型への転換が進展
テルモが「デバイスからソリューションへ」という中長期ビジョンを掲げる通り、単なる医療機器メーカーから、包括的な医療ソリューションプロバイダーへの転換が進むと予想されます。技術開発力と医療現場との緊密な連携、強固な財務基盤を活かし、M&Aも積極活用しながら世界トップクラスの医療機器企業としての地位をさらに強化していくでしょう。
まとめ
テルモの総合評価と将来展望
テルモは100年以上の歴史を持つ日本発の医療機器メーカーとして、グローバル市場で着実に成長を続けています。ここまでの分析を総合すると、テルモの現状と将来展望は以下のように要約できます。
| 項目 | 現状 | 5年後の展望 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 業績 | 売上高1兆円到達、高い収益性 | 売上高1.3~1.5兆円、利益率向上 | 非常に良好 |
| 財務体質 | 自己資本比率約70%、低い負債比率 | 高い財務健全性を維持 | 非常に良好 |
| 競争力 | 特定分野で高いグローバルシェア | ソリューション領域での差別化進展 | 良好 |
| 技術力 | 医療機器の開発・製造で高い技術力 | デジタル技術との融合が課題 | 良好 |
| 人材・組織 | 高い社員定着率、労働環境整備 | グローバル人材の育成加速 | 良好 |
テルモの強みは、低侵襲医療など今後成長が期待される分野で強固な事業基盤を持ち、財務的にも安定していることです。「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、医療現場のニーズを捉えた製品開発を続けてきた実績があります。
一方で課題としては、AI・デジタル技術の急速な進化への対応や、既存の枠を超えた新たなビジネスモデルの構築が挙げられます。医療機器業界全体がデバイスの提供からソリューションの提供へとシフトする中、テルモがいかに独自の強みを活かして差別化を図れるかが今後の成長の鍵となるでしょう。
テルモが掲げる「デバイスからソリューションへ」というビジョンは、まさに業界の変化を先取りしたものであり、この方向性に沿った取り組みを着実に進めることができれば、5年後にはさらに企業価値を高めていると予想されます。医療の進化と高齢化社会の到来という時代の流れの中で、テルモの役割と可能性は今後も拡大し続けるでしょう。
就職・転職を検討している方にとっては、安定した業績と成長性、ワークライフバランスに配慮した労働環境、社会貢献性の高い事業内容など、多くの魅力を兼ね備えた企業であると言えます。医療を通じて社会に貢献したいという志を持つ方々にとって、テルモは理想的な活躍の場となる可能性が高いでしょう。